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ØMI(登坂広臣)はなぜうつ状態になった?三代目JSBの葛藤、メンバーとの対話と『LAST SCENE』

人の言葉と生き方

三代目 J SOUL BROTHERSのボーカル、登坂広臣。ソロ名義ではØMI(オミ)。華やかなステージを知っている人にとって、彼がかつてグループの活動を続けること自体に限界を感じ、2020年頃にうつ状態にあったと明かしたことは、意外だったかもしれない。

では、何が彼をそこまで追い詰めたのか。そしてなぜ、再び7人でステージに立つことを選んだのか。2023年のフォトエッセイ『LAST SCENE』をめぐる長編インタビューを中心に、本人が話した経緯を時系列でたどっていく。これは病気を単純な成功物語にする記事ではなく、「大丈夫そうに見える人が抱える重圧」を考えるための人物記録だ。

登坂広臣(ØMI)がフォトエッセイ『LAST SCENE』刊行記念イベントで本を手にしている
写真:ORICON NEWS「登坂広臣 2ndフォトエッセイ刊行イベント」より引用

ØMI(登坂広臣)とは? 三代目JSBとソロ、二つの顔

登坂広臣は2010年に三代目 J SOUL BROTHERSのボーカルとしてデビューした。今市隆二とともに歌う中心人物であり、『R.Y.U.S.E.I.』をはじめとするヒット曲と大規模ツアーを経験してきた。一方、ソロではHIROOMI TOSAKAからØMIへと名義を展開し、グループと異なる音やビジュアルの世界を構築している。

彼の特徴は、単なる歌唱力や容姿の華やかさだけではない。「どう作品を見せるか」「ステージをどう終えるか」まで構想するプロデューサー的な視点が強い。2023年のインタビューで『LAST SCENE』という本を作る際も、まずタイトルと世界観を決め、そこから写真や文章を考えていったと話している。出典:Real Sound(2023年12月3日)。

なぜうつ状態になったのか――始まりはコロナ禍より前だった

2016〜2017年頃から、メンバーと歩調が合わなくなった

本人の証言で重要なのは、2020年のコロナ禍が唯一の原因ではなかったことだ。Real Soundの取材では、2016〜2017年の『METROPOLIZ』ツアーの頃からメンバーと足並みが揃わない感覚があったという。小さな違和感を抱えたまま、多忙な活動を重ねていた。

ファンから見れば満員の会場、整ったパフォーマンス、楽しそうな7人。しかし表側の成功と、当事者の精神的な負担は別のことだ。ØMIはグループの行く先を考える立場に自分を置き続け、考えることそのものに疲れてしまった。ここで本人は「何年も張り詰めていたもの」がコロナ禍に入って切れた、と振り返る。本人インタビュー。

コロナ禍で張り詰めていたものが切れた

グループが大きければ大きいほど、ツアーを止める判断も、再開する判断も軽くない。2020年頃、仕事のペースや人と会う状況が大きく変わった時、以前から蓄積していた負担が表面化した。本人はメンバーだけでなく、所属会社やスタッフにも限界を感じていることを伝えたという。

ここで興味深いのが、周囲の反応だった。いつも冷静で、俯瞰して物事を見る彼なら大丈夫だろうと、みんなが信じていた。周囲は自分たちが気づかないうちに重い役割を担わせていたことを謝った。ØMIは、謝罪そのものよりも、そうした会話を通して初めて「自分が負担だと感じていたこと」を認識できたと語る。

つまり「一人で全部背負っていた」と単純化するのも正確ではない。周囲に任されていた部分もあれば、本人が自分の意思で抱え込んでいた責任感もあった。本人は後に、相手もまた何かを背負っていたと知ることができた、と話している。

なぜメンバーにすぐ相談できなかった?

限界を認めても、関係を改善する話し合いがすぐにできたわけではない。自分が普段どおりではないと自覚していた彼は、悪いコンディションのままメンバーと向き合えば関係がさらにこじれるのでは、と恐れたそうだ。心を閉ざしてしまった時期があった。

その頃のメンバーは、無理に心を開かせるのではなく、様子をうかがいながら少しずつ近づいてきた。ØMIは一人ひとりと対話する時間を作り、互いが抱えていた思いを交換していった。この「全員と一度に話す」のではなく「一人ずつ話す」という経緯は、本人の回想だからこそわかる具体的な部分だ。

対話の中で、本人は自分が何に責任を感じていたのかを整理できた。すべてを自分一人で背負わなくてもいいと理解でき、徐々にグループと向き合えるようになったと述べている。本人は回復が突然起こったとは言っていない。あくまで少しずつ変化があった、という話だ。Real Sound・インタビュー2ページ目。

「解散したかった」は、病状と別の問題だった

2021年の10周年ツアー『THIS IS JSB』を一つの区切りに、グループを解散するという考えを持っていたことも語られている。ただしここは慎重に読む必要がある。ØMI本人は、うつ状態になったから解散を考えたわけではない、と明確に区別しているからだ。

長年同じメンバーで活動してきたからこそ、それぞれの人生を尊重したかった。そして、もっと見たいと思われているうちに美しく幕を閉じるという美学もあった。歌う仕事と、身体を使うパフォーマーの仕事では、今後の時間の使い方も違う。それを踏まえて終わり方を考えていた、という。

しかしツアーでファンの熱を体感し、メンバーの前向きな提案に接する中で、考えは変化していく。以前なら計画にこだわっていた場面でも、仲間と同じ船を漕ぐことを選べるようになったと、本人は笑い交じりに話す。これは単なる「病気から復帰してよかった」という物語より、ずっと人間味のある変化だと思う。

ØMIという人の人柄が伝わる三つの場面

1. 深刻な話の後でも、ファンを安心させようとする

『LAST SCENE』で苦しかった時期を書いたところ、ファンから健康や長生きを心配する反応が届いたという。本人は現在の自身について、過去を振り返って話せるコンディションであり、読者が過度に心配しなくてもいいことを伝えたいと語った。過去を隠すのでも、苦しみを大きく見せるのでもない姿勢が見える。取材前編。

2. 「冷静な人」が、仲間の勢いに乗るようになった

以前は決められた予定を大事にするタイプだったが、周りのメンバーが面白いことを提案すれば一緒に進むことも受け入れられるようになった。インタビューには、バラエティ企画でのくだけたエピソードも登場する。表舞台では完璧に見える人が、肩の力を抜くことを覚えたとも読める。

3. 自分の音楽だけでなく、次世代の表現者を考える

ソロ『ANSWER…』と2022年のツアー以降、次の作品への意欲が湧くまで時間を置いたことも明かしている。ハードな制作を自分に課すばかりではなく、若いアーティストの育成やプロデュースに注力した。2022年のインタビューではオーディションで候補者を見守る際の緊張感も率直に話した。女子SPA!の本人インタビュー。

音楽を聴くと、彼の見せ方の変化もわかる

三代目J SOUL BROTHERS――大勢と共有する高揚感

まずグループの『R.Y.U.S.E.I.』。広い会場を一体化する曲で、彼のキャリアの大きさがわかる。一人の内面とステージ全体の熱気は、必ずしも同じではないということを踏まえて聴くと、少し違う景色が見えてくる。YouTubeで『R.Y.U.S.E.I.』を探す。

『SHINE』――個人として作る光の世界

ソロ名義の『SHINE』では、音も映像もグループとは異なる世界観へ入っていける。2021年の公式MVは、時期的にも彼がグループと自分自身を見直していった後の表現に重なる。楽曲だけから病状を推測することはできないけれど、どのように自分を表現したいかを知る入口になる。ØMI『SHINE』公式MV。

『You (Prod. SUGA of BTS)』――境界を広げたコラボ

2022年のアルバム『ANSWER…』ではBTSのSUGAがプロデュースに関わる『You』も発表した。日本のグループで確立した役割を超えて、別の音楽的文脈に踏み込もうとした一例だ。ØMI公式チャンネル『You』を聴く。

本人の著書『LAST SCENE』が、この人物像を知る最も近い入口

本人が2023年に出した2冊目のフォトエッセイ『LAST SCENE』は、2015年の『NOBODY KNOWS』以降の年月を振り返った本だ。パリで撮影した写真とともに、グループへの思い、家族との別れ、恋愛観、そして今回触れた心の不調も語られている。インタビューだけでは掴み切れない文脈を知りたい人向けの一冊だ。

書誌情報:『LAST SCENE』ØMI/幻冬舎、2023年刊、ISBN 9784344041691。 Amazonで本を見る / 楽天ブックスで本を探す。※商品リンクは現時点では通常リンク。この記事の筆者は未読のため、読後の評価や感想ではなく、出版社の紹介と本人の取材内容に基づいて紹介している。

今の彼をどう理解すればいいのか

ØMIが語った経緯から受け取れるのは、「誰かが悪かった」という単純な結論ではない。成功を重ねるうちに担うものが増え、周りも自分もそれを当たり前だと思ってしまう。限界が来て初めて、負担が言葉になる。そして時間をかけて、それぞれの役割を話し直す。

ステージ上の輝きと、本人が感じる苦しさは共存し得る。だからこそ、本人が取材の中で「解散への思い」と「うつ状態」を切り離して説明したことも重要だ。すべての選択を心の不調に還元せず、一人の表現者が考え抜いた人生観として読む。

この記事で触れた経験が、そのままほかの人の回復方法になるわけではない。でも、冷静に見える人ほど助けを求めにくいことや、対話によって自分の負担の輪郭が見えることには、仕事や人間関係にも通じる視点がある。

参考にした本人の発言・一次資料

Real Sound『LAST SCENE』本人インタビュー 前編(2023)/同 後編:うつ状態とグループとの対話(2023)/幻冬舎『LAST SCENE』書誌情報/女子SPA! オーディション取材(2022)/ORICON NEWS 刊行イベント(写真出典)。

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