人生をやり直したいと思ったとき、最初に何から立て直すか
「人生をやり直したい」と思ったことが、僕には何度かあります。
最初は、うつ病になって新卒で就職できなかったときです。その後、紆余曲折あって就職することができましたが、再びうつ病になって退職したときにも同じようなことを考えました。
最初にそう思ったころは、本当に過去に戻りたいと思っていました。高校生に戻ってもっと勉強して、学歴の高い大学に入っていたら違ったんじゃないか。あるいは、地元の友人たちのように専門学校へ進んで、一つのことに特化していたら仕事が見つからないことはなかったんじゃないか。そんなことをよく考えていました。
今振り返ると、違う大学へ行っていたら人生がうまくいったのか、専門学校へ行っていたら仕事に困らなかったのか、それは分かりません。
ただ、当時の僕に必要だったのは、過去に戻って違う選択をすることではなかったように思います。
みんなは普通に働いているのに、自分は何をしているんだろう
うつ病になって新卒で就職できなかったあと、2年くらいは治療をしながら過ごしていました。仕事もないので、毎日が休日のような生活です。ずっとスマホゲームをしていた時期もありました。
将来のことを少しでも考えると不安になりました。SNSを見るのも怖かったです。周囲は普通に働いているのに、自分は働いていない。その現実を直視したくありませんでしたし、自分には居場所がないようにも感じていました。
仕事は、最終的には病院の先生が見つけてくれるわけでも、親が見つけてくれるわけでもありません。自分でどうにかしないといけないことは分かっていました。
ただ、どうすればいいのかが分かりませんでした。
「高校生からやり直せたら」と考えていた
当時の僕が考えていた「人生をやり直す」は、文字どおり過去をやり直すことに近かったと思います。
高校生に戻ってもっと勉強する。もっと学歴の高い大学に行く。あるいは大学ではなく専門学校へ行って、一つのことに特化する。そうすれば今とは違う人生になっていたんじゃないかと思っていました。
当時は、大卒なのに正社員ではない自分は落ちこぼれだとも思っていました。就職できない状態が続く中で自信を失っていたので、「大学を出た」という自分を肯定できる要素まで失いたくなかったのだと思います。
今でも、違う進路を選んでいたらどうなっていただろうと考えることはあります。ただ、それで必ずうまくいっていたとは思いません。
まずは体調を立て直す必要があった
今振り返って最初に必要だったと思うのは、体調を立て直すことです。
これは、その後に一度就職してから、もう一度うつ病になった経験からも感じています。
最初に就職できたときも投薬治療は続いていました。抗不安薬を飲みながら、時には薬を増やしながら働いていました。
職場へ行って退勤時間まで過ごすだけで、体も心も精一杯でした。仕事について勉強する余裕もありませんでした。
その状態で働き続けて再び体調を崩したとき、就職するのが早かったんだなと思いました。せっかく就職できたのに、またうつ病になって退職することになり、そのときはもう終わったとすら思いました。それでも、その職場から離れたいという気持ちの方が強くなっていました。
二度目に体調を崩したときは、最初のときより回復は早かったと思います。ただ、体調が戻ったからといって、すぐに自分の進む道を見つけられたわけではありません。その後もしばらくは、自分がこれからどう働いていくのか悩むことになりました。
「これならできるかも」と思える仕事から始めた
新卒で就職できなかったころは、大学のキャリアカウンセラーを頼っていました。履歴書を見てもらったり、就職活動について相談したりしていました。
ただ、当時の僕は面接練習を受けることにも勇気が出ませんでした。
そんな状態から始めたのが、店舗のバックオフィス業務のアルバイトでした。接客をする自信がなかったので、まずは人前に出なくてもいい仕事をやってみようと思いました。学生時代に似た業種でアルバイトをした経験があったので、これなら自分にもできるかもしれないと思ったことも理由の一つです。
当時は、それが人生を立て直すための第一歩だとはまったく考えていませんでした。心が弱っていたので、まずは自分でも何かを継続できたという自信が欲しかったんです。
大卒なのに正社員ではない自分は落ちこぼれだと思っていたので、アルバイトから始めることにも抵抗がありました。それでも実際に働き続けられたことで少しずつ自信が戻り、それまで勇気が出なくて受けられなかった面接も受けられるようになりました。
正社員を目指さない方がいいとか、アルバイトから始める方がいいということではありません。僕の場合は、正社員でなければいけないという考えを一度横に置いて、自分にもできそうなことから始めたことが次につながりました。
就職活動との接点をなくさなかった
新卒で就職できなかった時期には、大学のキャリアカウンセラーから、ときどき体調を気にかけるメールをもらっていました。
相談していたからといって、積極的に就職活動ができていたわけではありません。面接練習にもなかなか踏み出せない状態でした。
それでも、自分が何を不安に思っているのかを話せる相手がいて、ときどき連絡をもらえることで、就職活動との接点が完全になくなることはありませんでした。
もしその接点までなくなっていたら、そのまま引きこもっていた可能性もあったと思います。実際にはほとんど動けていなくても、自分の中では少しだけ就職活動を続けているという感覚があり、それが心の支えにもなっていました。
誰かに相談したことで問題が解決したというより、完全に一人にならずに済んだことの方が、僕にとっては大きかったように思います。
振り返ると、やったことはそれほど大きくなかった
当時は人生をやり直したいと思っていましたが、実際に自分がやったことは、それほど大きなことではありませんでした。
治療を続けながら、大学のキャリアカウンセラーとの接点を残す。すぐに正社員として働くことは難しかったので、自分にもできそうなアルバイトを始める。それを続けられたことで少し自信がつき、それまで受けられなかった面接を受けられるようになる。
その結果、一度は就職することができました。ただ、その後またうつ病になり、退職しています。
何か一つのことをしたことで、人生がうまくいくようになったという話ではありません。
今振り返ると、僕に必要だったのは「人生を一発で変える方法」ではなく、小さな自信を一つずつ取り戻すことでした。


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