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体調不良で退職代行を使うのは無責任?実際に利用した後輩から聞いた話

休む・辞める

この記事では、実際に体調不良のなかで退職代行を利用した後輩から聞いた話と、同じ職場にいた僕から見えたことをもとに考えます。

うつ病で仕事を辞めたことはありますが、そのときは休職したあと、自分で退職する意思を伝えました。

ただ、以前働いていた会社で、退職代行を使って辞めた後輩がいました。

数か月後、その本人からなぜ退職代行を使ったのかを聞く機会がありました。

その話を聞いてから、僕は退職代行について単純に「自分で辞めると言えばいい」とは思えなくなりました。

朝、退職代行から会社に電話がかかってきた

その日は、出社してすぐでした。

事務の人のところに退職代行会社から電話が入り、社員の一人が退職するということが分かりました。

当然、社内は少しざわつきました。

僕はその人とは別の部署でしたが、部署内があまりうまくいっていないことは多少知っていました。

しかも、その会社では退職代行を使って辞めた人が過去にもいました。

それでも、実際にまた退職代行から電話が来ると、

「本当に使ったんだ」

という空気にはなります。

ただ、それも長くは続きませんでした。

仕事はあります。

その人がいなくなった後の対応もあります。

しばらくすると、会社は普通の日常へ戻っていきました。

僕はその早さを少し怖いとも思いました。

本人にとっては、おそらくかなり大きな決断だったはずです。

でも会社からすると、一人の社員が辞めたという出来事として処理されていく。

僕自身も、思っていたより早くその状況を受け止めていました。

数か月後、本人から理由を聞いた

数か月経って、その後輩と話す機会がありました。

そのとき初めて、なぜ退職代行を使ったのかを聞きました。

本人は以前から会社を辞めたいと思っていたそうです。

ただ、それを自分から言い出しにくかった。

部署の空気もかなり悪く、日頃から誰かに相談できるような状態ではなかったと言っていました。

仕事のストレスで体調も崩していました。

それでも本人の中では「一度休みたい」というより、

この会社から離れたい

という気持ちの方が強かったようです。

だから休職という選択肢を考えていたわけではありませんでした。

賞与をもらってから辞めたいという気持ちもあった

もう一つ、本人が話していたのが賞与のことでした。

辞めるなら、賞与を受け取ったあとにしたい。

でも、先に退職する意思を伝えたら賞与を減らされるのではないか。

そんな心配をしていたそうです。

実際にその会社で退職意思を伝えたら必ず賞与が減額される、という話ではありません。

僕にもそれは分かりません。

賞与の支給条件は会社の就業規則や制度によって違いますし、支給日在籍要件などが有効とされた裁判例もあります。だから少なくとも、「退職を考えているなら賞与は必ず満額もらえる」と一律に言えるものではありません。厚生労働省「確かめよう労働条件」:賞与に関する裁判例

ただ、重要なのは、彼自身がそう不安に思っていたことでした。

相談できる人もいない。

職場の雰囲気も悪い。

体調も崩している。

その中で、

「先に辞めると言ったら、自分が損をするかもしれない」

という気持ちまで加わった。

だったら多少お金を払ってでも、賞与を受け取ったあと退職代行を使った方がいい。

本人の中では、だんだんその方が合理的に見えていったそうです。

外から見ると突然でも、本人の中では突然ではなかった

会社側から見ると、その朝いきなり退職代行から電話がかかってきました。

だから出来事だけを切り取れば、

「突然来なくなった」

ように見えます。

でも本人の話を聞くと、実際にはその日突然辞めたくなったわけではありませんでした。

前から辞めたかった。

部署の人間関係もうまくいっていなかった。

体調も崩していた。

辞めると言い出しにくかった。

賞与のことも心配だった。

そういうものが積み重なった先に、退職代行がありました。

2026年のある退職代行サービスの集計でも、利用者901件の退職理由のうち、「体調不良(うつ、適応障害等)」が333件、「職場の人間関係」が328件、「社風が合わない」が316件と上位を占めています。複数回答で、そのサービス利用者だけの数字ではありますが、本人から聞いた話と重なる部分はあります。退職代行ガーディアン「退職代行白書2026年4〜6月」

僕も、会社に自分の状態を伝えるのが簡単だったわけではない

僕自身は退職代行を使いませんでした。

でも、うつ病で仕事を続けられなくなった経験があります。

そのとき、自分の状態を会社の人に話すことは簡単ではありませんでした。

僕は病歴を会社に伝えずに働いていましたし、せっかく就職できたのだから普通に働かなければいけないという気持ちもありました。

苦しくなっても、

「実はもうかなりつらいです」

とはなかなか言えませんでした。

最終的には休職し、その後退職しました。

だから後輩の話を聞いたとき、

「普通に上司へ辞めますと言えばよかったのに」

とはあまり思いませんでした。

状況は僕とは違います。

僕には休職という選択肢がありましたし、退職の伝え方も違いました。

でも、会社の中で自分が弱っているときに、自分の意思を誰かに伝えること自体がかなり大きな仕事になる感覚は分かります。

「自分で言うのが普通」だけでは片づけられなかった

もちろん、退職代行を使う人がみんな同じ理由で利用しているわけではありません。

単純に会社とやり取りするのが面倒で使う人もいるだろうし、強い引き止めを避けたい人もいると思います。

パーソル総合研究所の調査では、退職代行利用経験者52人の利用理由として、「すぐにでも退職したかった」が42.3%、「上司への恐怖心」が28.8%、「体調不良、精神的につらかった」が25.0%でした。小規模な調査なので一般化はできませんが、「言うのが面倒だから」だけでは説明できない人たちがいることは見えてきます。パーソル総合研究所「退職代行に関する定量調査」

僕が後輩から直接聞いた話もそうでした。

会社と話したくないというより、

そこまでの関係を作れなくなっていた

という感じに近かったように思います。

会社は思っていたより早く日常に戻った

あの日のことを思い返すと、一番印象に残っているのはここです。

退職代行から電話が来た朝は、確かに社内がざわつきました。

でも、そのあと会社は普通に動き続けました。

人が一人辞めても、会社そのものが止まるわけではありません。

別の人が仕事を引き継いで、しばらくするとそれが日常になります。

僕自身がうつ病で休職したときも、

「迷惑をかけている」

という気持ちはかなりありました。

でも組織は、自分が思っているより自分一人がいなくなっても動いていきます。

それを少し寂しいと思うこともあります。

一方で、自分がいなくなったら全部が壊れると思う必要もないのかもしれません。

後輩が退職代行を使ったことが正しかったのかどうかは、僕には決められません。

ただ、本人の話を聞いてから、

「自分で辞めると言えなかった人」

という一部分だけでは、その人がそこまで追い込まれた経緯は分からないと思うようになりました。

僕には、それくらいの距離で考える方が自然です。

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